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2007年5月15日 (火)

友人

今日は、父の友人Nさんが来ました。
 
 
我が家は無宗教・無信心なので、仏壇がありません。
父の希望で、葬儀も業者を使わず、市の火葬場を借りただけで
あとは家族の手作り(?)で行いました。
お坊さんナシ、お経ナシ、戒名ナシ、お墓ナシ。
実に、簡素で、ドタバタで、家族と親族だけの水入らずのお葬式
でした。
(面白い出来事もあったんだけど、それはいずれまた)
 
 
 
なので、父の友人達が「お墓を教えてほしい」「お線香をあげたい」
と言われても困ってしまいます。
 
我が家では仏壇の代わりに、IKEAのシンプルなサイドボードを
父のスペースとして、遺骨、写真、お花、父が書いた旅行記、
入院日記、父の好きなナナ・ムスクーリのCDとデッキ、父が飼って
いたメダカの水槽が置いてあるだけ。
遺骨とメダカが同居。。。
たまに、ユキさんによって、アンパンマンがお供えされたりも。。。 
 
 
 
ま、それもまた良しってことでw
 
 
 
とゆう訳で、父の友人達が行く先は我が家しかなく、その接待が
また大変なんです。
小学校からの幼馴染み、大学の友達、山の会の仲間、職場の人、
旅先で知り合った人などなど。
とにかく、友人が多い。多すぎる。
運転手付きの車で来ちゃうような重役もいたりして。
 
 
でも、今日のNさんはとても気さくな人で、普段着のままで来てくれて
なんの気負いもない様子で人なつっこく色んな話をしてくれました。
 
 
 
その中からひとつ。
 
 
 
Nさんが働いていた時(今はもう定年)、職場で事故があった。
その事故では死者も出て、Nさん自身も重体だったそう。
その時の事を今でもハッキリ覚えているんだけど、Nさんが
救急車で搬送される時、救急隊員が横たわるNさんの頭上で
 
「この人はもう死んでるね」
 
と話していたんだそう。
脈をとったり瞳孔の反射をみたり、Nさんの生死の確認をして
隊員達がそう言うので、
 
「バカ言うな。俺は生きてるぞ!」
 
とNさんは叫びたかったけど、動けなく、声もでなかった。
このままでは死んだことにされちゃう、とNさんは怖くなったけど
次に気付いた時には病室にいて、重体ということで看護を受けて
いた。
 
 
 
「私はあの時のことを、周りの人達みんなに話すんです。
 きっと、生死の境をさまよう時も、もしかしたら死んでしばらくの
 間も、人間の耳は聞こえてるんじゃないかな。
 だから、危篤の人のかたわらで遺産の話だの葬式の打ち合わせ
 だのをしちゃいかんのです。
 大丈夫、良くなるよ、そばにいるよ、と励ましたりいたわるような
 声をかけてあげないと、とてもガッカリして意識が戻る可能性すら
 失ってしまいかねん。
 それほど、私はあの時、ものすごく怖かったんですよ」
 
 
 
父が昏睡状態になった時、私と長兄と叔父さん(父の兄)が
付き添っていることがあった。その時に叔父さんは
「弟が死んだ時も、最期はこんな感じだったんだよー」
と言い、長兄に
「俺、千葉の家に行ったことないんだけど、どう行くの?」
と聞いていた。
 
長兄は叔父さんの家から我が家までの行き方を説明して
いたが、腹が立った。
「千葉の家に来る」ということは、お葬式の時のことを話して
いるからだ。
そんな話を父のそばでしなくたっていいじゃないか。
しかも、今、聞いたからって覚えられるのかよ。
「しっかりしろ」とか「頑張れよ」とかそういう言葉はないのか。
 
 
我慢できなくて「そんな話をしないでください」と言ったら、
「でも、さっき主治医に聞いたら、昏睡の時は話の内容は分から
 なくても雰囲気は伝わってるから、普段通りにそばで過ごして
 あげてください、って言われたんだよ」
と、ぬかしやがった。
 
 
 
普段通りに、葬式の段取りをつけるヤツがいるか!
 
 
 
頭の中で、たくさんの罵りの言葉が沸き起こったがこらえた。
「じゃあ、もっと楽しい話をして下さい。そんなつまらない話は
 お父さんも聞きたくないと思いますから」
そう言ったら「えー。じゃあ、なにを話せばいいの?」だと。
なにも思いつかない、ちっこい脳味噌なら黙っとれ!
 
 
 
長兄は苦笑いをしながら、黙って聞いていた。
叔父さんも黙ってしまい、しばらくして帰っていった。
 
 
 
叔父さんは、本家の当主。
父も、叔父さんを立てていた。(一目は置いてなかったけど)
きっと、長兄も私と同じように感じていたに違いないが、やはり
叔父さんの面目を立てて、聞かれたことを素直に答えていたの
だろう。
こおゆう、妙なしがらみを男社会では感じる。
 
でも、言っちゃったもんね。
 
もっと言ってやりたかったけど、とりあえず黙らせたし。
やってやったぜ。
昏睡のお父さんは呆れたかもしれないけど、いいんだもんね。
きっと、お父さんも叔父さんの話にはウンザリしてたと思うもん。
 
 
 
 
 
この出来事を、次兄が聞いたら、やっぱりちょっと呆れていた。
叔父さんは、後々で、何度も言い訳めいたことを私に言ってきて
自分を正当化しようとしていた。(メンツを取り戻したいのか?)
母だけは「よく言ってくれた!」と、喜んでいた。
男と女の違いかねぇ。
 
 
 
でも、今日、Nさんの話を聞いて、やっぱり思い切って言って
良かったと思った。
昏睡になって戻ってくる人は20%くらいなんだそう。
主治医の人だって、昏睡状態を体験したわけじゃない。
Nさんが叫びたくてもできなかったように、意志を表明できなく
ても意識がある(感じている)ことは十分あり得ると思う。
叔父さんの時には、メジャーを持っていって身長でも測って
 
「○○センチの棺なら入りそうだね」
 
とか言ってやろうか。
なんて、想像するだけで実行はしませんけどね。いくら私でも。
 
 
 
 
 
それにしても、話の面白い(内容があるという意味での)お年寄り
はカッコいいね。
Nさんは、それだけ充実した人生を過ごしてきたことが分かる。
たくさんの苦しみも悲しみもあっただろうことが、言葉にしなくても
分かるし、それらを乗り越えてきた強さまでも感じる。
その点、叔父さんはエリート街道まっしぐらだったけど、同じ話を
何回も何回も何回も…する、それだけの生き方だったんだろうな。
(叔父さん、けちょんけちょん。ちょっと言い過ぎかな。反省)
 
 
 
  
そういう点では、父も話題が豊富で、弔問に来てくれた人もみな

「○○さんは、じゅうぶんに生ききったよ」
「早かったけど、内容は人の倍くらいの人生を生きてるよ」
「うらやましいほど、自分の好きなことに打ち込めてましたよ」
 
と言ってくれていました。
その自分本位な性格から、家族は散々 困らされたけど、こうして
言われると、なにやら父と一緒に大事業を成し遂げたような
ちょっと誇らしいような気持ちにもなったりして。
 
 
そう。
上記のセリフの前には、必ずと言っていいほど
「家族の方は大変だったでしょうけど…」
という言葉がついていました。
ほんっっっと、ワガママな父と付き合うのは大変だったのよ。
でも、楽しかったな。
もっと早くに気付きたかったけど。
 
いつもは弔問客が来ると母と一緒にしんみりしちゃうんだけど、
今日は、Nさんのおかげで楽しかったです。
こんな素敵な友人を持っていたなんて、うらやましいな。
 
 
 
 
 





 
 
 

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コメント

えらい!よく言った。
長男としては立場上強く出れないからね。
やっぱり本人の前でそんな話をするのはデリカシーがないよね。

あ、でもその仏壇もどきは見てみたいかも。

投稿: さかも | 2007年5月15日 (火) 00:57

いいお話聞かせてもらっちゃった。
私も、おばあちゃんが入院している間、表情も変えられない、こえも出せない、身動きも出来ない寝たきりの人だったので、みんな「お見舞いに行っても何もわからなくなって」って言ってたけど、それは違うと思ってた。
私はその都度「私の行くときには、はっきり私だということも話の内容も分かってました」って言っていたけど、私は少なくともお見舞いに行ったら1時間は枕元で大きな声であれこれお喋りしてた(迷惑だけどたまのことだから~)。たぶん、最初はぼーっとしていても、声を聞いてるうちにだんだん覚醒してきてたんだろうなって思うんだ。それを、すぐに諦めちゃったらそれはもちろん誰が来て何を言ってるのかわかるわけないよね。
経験したことが無い人が、「もうわからないだろう」って思うのは不遜なことだと思う。そんながっつのあるねねちゃさんが羨ましいよ。

投稿: たん | 2007年5月15日 (火) 13:05

さかもさん
デリカシーなさすぎだよね! やっぱ、そう思うよね!
長男…男社会ってそんなものなのかなぁ。
今までは、ちっともそんな話なんてしなかったけど、
父ことがあってから男の人達は「○○を立ててあげなきゃ」とか
「本家の了解をとらなきゃ」だとか聞くようになってウンザリ。
大した家系じゃないのにさ。バカみたい。
冠婚葬祭は難しいね。
仏壇もどきは、なかなかスタイリッシュ(?)で結構イイよ!
文章じゃ説明できないけど。こおゆうのもアリだよね☆
 
 
 
たんさん
絶対、お祖母さんは聞こえてたし内容も分かってたと
思うよ。
お父さんの時も、私が一晩中付き添ってた時に昏睡になって
しまって、たまに深いため息のように「あーーー」と息を
吐くんだけど、私がアレコレ話しかける内容にちゃんと
答えているようだったの。
つまらない、どうでもいい話の時はなんともなくて、私が
今までの思いや母の話とか大事な内容になると息を吐いて
返事をしてくれたように感じたよ。
昏睡が深くなるにつれ、それもなくなったけど、それでも
聞いてくれていたように思います。
お祖母さんは、たんさんのお話が聞けて楽しかっただろうね。
お父さんも楽しんでくれたかな。「うるせーなぁ」とか思って
いたりしてw

投稿: ねねちゃ | 2007年5月17日 (木) 01:21

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